価格優先で中古の一戸建を購入して、自由に外装や間取りを変更できることを理由にスケルトンリフォームを検討されているなら慎重に考えてみましょう。
建て替えた方が安くなる場合もあるので、総合的な判断をするためにチェックポイントを紹介しますので参考にされて下さい。
・スケルトンリフォームの戸建チェック事項
通常の部分的なリフォームと違い主要構造体を残して、それ以外の広範囲な工事になるスケルトンリフォームは、法的な規制の問題や工事費の比較検討の仕方で注意しなければけないポイントがあります。
自由に間取りを変更したい
一般的なリフォームと違い、柱や梁などの建物の主要構造体だけを残して内装を撤去することで、制約の無い状態で新たな間取りプランを考えられることは、スケルトンリフォームのメリットと言えるでしょう。
外装も今までの雰囲気を残した状態で、内部の生活空間を自分好みの快適な状態にリフォームできます。
築年数が経過していて老朽化が激しいなら、外装もほとんど残せない場合もあります。
建物の構造や工法により、構造上重要な耐力壁や筋交いなど撤去が難しい場合もあるので建築士に相談して下さい。
リフォーム費用を抑えたい
両親から受け継いだり、中古で古い戸建てを安く購入したのでスケルトンリフォームで手を入れて、できるだけ安く住みやすいマイホームにしたいと思われる方も多いでしょう。
果たしてそんな単純に古い建物を修繕して安くできるでしょうか?
建物の構造や築年数、老朽化の度合い、内外装のグレードなどで一概に比較できませんが、皆さんが思っているほど安くはならないと思います。
一般的な建て替えをする場合には、古い家屋の内装材を剥がし搬出して、建物本体を重機で解体して分別して運搬車両で搬出します。
スケルトンリフォームの場合には、内外装の仕上げ材を手作業でばらして剥がし下地を解体していきます。
構造体を壊さないように細心の注意を図り、腐食が無いか確認点検しながら時間を掛けて解体する必要があるのです。
施工日数も掛かり人件費は膨らみます。
柱や梁、筋交いなどを残そうと思っても雨漏りなどで腐ってしまい、シロアリ被害に遭っていれば取り換え補修が必要となります。
当初予定していた工程では納まらずに、現場管理費などの諸経費も追加されていつの間にか新築工事の代金と大差ないか高くなっている可能性もあります。
建築基準法に適合させる
両親や自分たちの思い出の残る古い実家などを今風にスケルトンリフォームすることはメリットです。
築年数が経過した都心部などに密集した戸建てなどには、建築基準法の改正前の建築のために同じ条件で住宅を建てられない再建築不可の物件があります。
現行の建築基準法で定められている宅地に接合する道路は4m以上必要ですが、それよりも狭い「法42条2項道路」となっている場合には、セットバックと言って建物位置を道路中心線から水平距離で2mまで敷地を後退することになり、建ぺい率や容積率の算定に影響を与えます。
【リフォームの確認申請について、こちらの記事で詳しく書きました。ご参考ください。】
旧耐震基準じゃないか
古い家屋には旧耐震基準で建築された建物が多く存在します。
もしも地震に見舞われたら持ちこたえることが出来るのか、不安を覚えることが無いように現状の建物の主要構造体を耐震診断しながら、老朽化した基礎や柱などの補修や補強と同時にスケルトンリフォームで内外装の仕上げも一新するのです。
建築確認済証により耐震基準が大きく改正された1981年(昭和56年)より前に建築されているのであれば耐震補強が必要でしょう。
現行の新耐震基準を満たすことは必須で家族の安全を考えると早めの対策をしたいものです。
リフォーム工事を管理するためには、足場などの仮設費用や諸経費が発生するので単体で施工するよりも内外装もまとめた方が節約になります。
【木造の耐震補強について、こちらの記事で詳しく書きました。ご参考ください。】
断熱改修をしたい
老朽化して隙間ができて断熱性能が低下した家屋であれば、冬は温かく夏は涼しい環境にするための断熱改修をスケルトンリフォームでまとめて施工することができます。
屋根や外壁、床の下地に断熱材を挿入する必要があるために、表面の仕上げ材を捲らなければならないし、窓も断熱の樹脂サッシに取り換えることになるので効率的に工事ができます。
【断熱リフォームについて、こちらの記事で詳しく書きました。ご参考ください。】
安心できるスケルトンリフォームとは
通常のリフォームと違いスケルトンリフォームは、既存の主要構造部を調べながら丁寧に解体して、法的な制約もクリアしながら新たな住居を造りあげないといけないので、施工実績がある建築士や専属の設計担当者がいるリフォーム会社に任せるべきだと思います。
表面上は問題が無い戸建てが床下を点検したら基礎がひび割れていたり、壁を剥がしたら柱がシロアリ被害で構造材を取り換えする範囲や、補強方法などを判断しなければならず、施主に納得できる説明をする技術力と経験が必要です。
安易に価格だけで決めてしまい、構造計算上重要な部材を補強もせずに勝手に移動してしまったら取り返しが付きません。
【悪徳業者に騙されないで優秀な業者を探す方法を記事にしました。参考にされて下さい。】
・スケルトンリフォームのまとめ
ご自宅のスケルトンリフォームを考えられているのであれば、優先されるポイントを家族で決められて建て替えした場合との比較検討を、時間を掛けてされることをお勧めします。
再建築ができない場所であれば新たな地域で新築を建てられる想定で比べて下さい。
メリット、デメリットも含めて両親や奥さん、子供たちの意見も俯瞰で見ながら最終判断を下しましょう。
きっと後悔のないマイホームで笑顔溢れる環境になることでしょう。