両親の体が辛そうな様子を見ているとバリアフリーリフォームを考える時期が訪れたことを実感します。
事前の準備としてしっかりシミュレーションをすることで、相場を掴むことができるので紹介していきます。
・バリアフリーリフォームの問題点
両親が高齢になり以前のように歩行することが困難になったことで、つまずかないような対策をしないといけない場合には、問題のある個所を特定することは容易です。
しかし現在進行形で今まで支障が無かった家の造りや設備がある日から、高齢者にとっては辛い日常生活を送らせてしまうことがあるのも事実です。
せっかく室内の段差解消のリフォームが済んだのに数か月後には、浴室の出入り口を介助者が移動しやすいように広めの三枚引き戸にリフォームすることになると何かと大変です。
リフォーム業者との打ち合わせや工事中の家族や作業員に気をつかい疲れるし、リフォーム工事の諸経費などを考慮すると細切れでするよりも、まとめてバリアフリーリフォームをした方が効率的でコスト的にも有利になるのです。
ご自分が高齢者の立場になることは難しいことではなく、老化に伴う身体機能の低下をシミュレーションすることでどんな不便があり危険が伴うのか分かってくるのです。
・後悔しないバリアフリーリフォームの相場を知るコツ
1、老化現状と改善ポイント
ご自宅で両親やご自分が高齢者の立場になることで身体機能がどのように衰えて不便を感じ困るのか、今は何とも思わない場所にバリア(障壁)が存在するのか考えてみましょう。
歩幅が狭くなる
【対応策】
身体能力の低下に伴い思うように歩けなくなる原因が歩幅が狭くなることでしょう。
今まで以上に平坦な場所でも、横移動に時間を費やすことになるので体重を預けられる丈夫な手摺が必要です。
玄関や廊下、階段などの必要ヵ所に取り付けることが理想でしょう。
足を上げる力が衰える
【対応策】
室内の段差を解消しますすが、和室の敷居やトイレや浴室の立ち上げりや水返しの段差を改善して、フラットにすることで足がほとんど上がらない状態でも爪先が引っかかることが少なくなります。
転びやすくなる
【対応策】
万が一転倒して歩行困難に陥った時に助けを求められるような装置が必要です。
滑りやすい浴室や人目に付きにくい必要な個所に、緊急通報できるボタンを設置します。
最近はワイヤレスの通報装置も普及しているので、家の中でも絶えず携帯してもらうと家族の安心感も高まることでしょう。
筋力が低下する
【対応策】
筋力が低下すると自力での歩行が困難な状態になり車椅子を利用する機会も増えてきます。
介助者が付き添うことで車椅子が家の中を移動しやすい環境を造ることが必要です。
廊下が狭い場合には車椅子を考慮して幅も広げることなり、室内の建具も開き戸よりは引き戸が利用しやすいですし、幅も80㎝以上は確保したいところです。
視力が低下する
【対応策】
今までは見えていた物が見えずらいことで認識することが難しくなってきます。
リビングや廊下、普段使われている部屋の照明の照度を上げたり増設することで明るくします。
階段を認識しやすいように段鼻に色違いの滑り止めを施工したり、フットライトで足元を照らすことで踏み外しの危険を低減できます。
高い音が聞き取りずらい
【対応策】
聴力の衰えで聞き取れないことが多くなってきます。
玄関のチャイム音を聞き取りやすい範囲までボリュームを上げてみたり、聞き取りやすい音色の玄関ベルへ取り換えることで来客者の認識漏れがなくなるでしょう。
睡眠時間が短くなる
【対応策】
高齢者になると睡眠時間が少なくなる傾向があり夜中に目を覚ますことが多くなります。
快適な睡眠を確保するために家の中で、できるだけ静かな位置を専用の寝室にすると良いでしょう。
難しい場合には床や壁の防音性能を高めることで、子供たちの生活音を低下させることが可能です。
空調設備である冷暖房をコントロールすることで、暑すぎず寒すぎない適正温度を保つことも重要でしょう。
昼寝などを考慮するのであれば厚手の遮光カーテンにすることで紫外線を遮断でき安眠できます。
排泄回数が増える
【対応策】
高齢になると夜中を問わずに排泄回数が増える傾向にあります。
寝室からトイレまでの動線をできるだけ短くすることで、急激な温度差による体への負担を低減させる必要があるのです。
できれば寝室内に専用のトイレを設置できれば更に快適に過ごせるでしょう。
関節の曲げ伸ばしが難しい
【対応策】
運動能力が低下してくると関節を曲げたり延ばしたりする行動がきつくなってきます。
玄関での靴の履き替えも大変なので、側面に膝に負担の掛からない高さで腰かけられるベンチを設置します。
階段も関節に極力負担が掛からないように緩やかな勾配にすることが望ましいです。
歩行が難しい状態になった場合には、階段昇降機などの設備も検討されると良いでしょう。
指先の力が衰えてくる
【対応策】
握力も含めて指先に力を込めることが難しくなってきます。
ドアノブは掴みやすいレバーやハンドル式に取り換えて、水栓金具なども力を必要としないタイプを選ばれると良いでしょう。
暖かさや寒さの感覚が鈍くなる
【対応策】
寝室と廊下や浴室と脱衣室など室内での気温差は、高齢者にとって体に負担となり健康を害する恐れがあります。
家の中の気温を一定に保つために空調設備での冷暖房による室温調整や、床暖房や浴室の暖房乾燥機などを設置することで居心地のいい環境に改善されることでしょう。
外出がしずらい
【対応策】
足腰が弱ってくると杖をついたり車椅子を利用しての移動となるので外出する頻度も低減してきます。
室内から玄関、アプローチに高低差がある場合には、スロープを設置することで改善されます。
道路から玄関までを1/12~1/20程度の勾配で、滑りずらい仕上げのスロープを施工しスペースが確保できるのなら、玄関から室内へも更にスロープを設置することで、面倒なバリアが無くなることで外出しやすくなるでしょう。
2、必要性を見極める
両親の老いに伴い体の不調を訴えてくることが多くなってきます。
実際にバリアフリーにしなければならないことは知っていても具体的にどこまでリフォームする必要があるのか迷うものです。
結局はバリアフリーに慣れているリフォーム業者の提案で浴室の扉を広げるだけだったのが、玄関のスロープや室内の手すり設置、2階への階段昇降機までも工事をすることになってしまう。
当然費用は膨らみ高額なリフォームになってしまうのでした。
自分たち家族が必要としているのであれば当然いいのですが、内容をちゃんと理解しないで後悔することがないように、両親の健康状態を把握して動作の衰えがどの部分で家のどこを改善する必要があるのか、改善ポイントを確認しながら必要性を見極めて下さい。
3、バリアフリーリフォームの相場を調べる
地元で実績があり評判が良いいリフォーム会社に見積もりをお願いします。
できればバリアフリーを得意としている業者で3社程度は欲しいところでしょう。
相場をしっかり掴むためには全国規模で展開している大手のリフォーム会社も必要なので、ネットなどで調べて見積もりを依頼しましょう。
大手の場合には施工実績の件数が多いので、悩んでいる部分への対応力も違ってくるのでプランなどの資料は参考になります。
ここでも地元の業者と同じように3社の見積もりを受け取れるようにお願いしましょう。
全ての見積もりが揃ったら項目の抜けや不明な項目がないか、1式表示などが多く数量が不明な個所を確認します。
各業者の見積書を同じ条件で整理して浴室の改修はこの業者が安い、手摺の取りつけはこの業者が特に高めなど特徴が見えてきます。
表で集計することで工種や項目ごとの金額、平均金額も掴めるので業者選定の資料として活用できます。
【大手リフォーム業者からバリアフリーリフォームの見積もりを貰う方法を記事にしましたので参考にされて下さい。】
・まとめ
リフォームで大切なことはシミュレーションをしっかりして予算組することが重要です。
その場の雰囲気であれもこれもと追加してしまうと、予算を大幅にオーバーして後悔することになるのは想像がつきます。
両親と周りの家族が十分話し合い、予算も含めて納得できるバリアフリーリフォームを進めることが理想的です。
焦らずにじっくりと比較検討することで無駄のない、ライフスタイルに合った快適で安全な空間を造り出すことができるでしょう。